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【女子ヨット】オリンピックに架けた夢、そしてこれから
数々の偉業を成し遂げ、目指したのはオリンピック
明海大学在籍中から数々のタイトルを手にしてきた林 優季さん。卒業後、さらなるステージを目指す林さんがタッグを組んだのは西代 周さん。そして、二人が夢として掲げたのは、ほかでもない2020年のオリンピックでした。社会人チームの多くが企業からのスポンサードを受ける一方、二人の活動をバックアップしたのは明海大学浦安キャンパス同窓会でした。過酷を極めるトレーニングをこなし、国内外を問わないハードスケジュールの大会に出場し、オリンピックが視野に入った林 優季/西代 周ペア。しかしながら、オリンピック出場条件に惜しくも到達することはできず、「最もオリンピックに近かったペア」として、林さんと西代さんの挑戦は一旦のピリオドを打ちました。オリンピックという夢はプレッシャーとの戦い
———お二人にとって、オリンピックへの挑戦とは?林さん:学生時代には思い描くこともできなかった大きなチャレンジでした。
西代さん:普通に生きていたら経験することのできない貴重な体験だったと思います。
林さん:そして、プレッシャーが大きかったのも事実です。2020オリンピックへの出場は1回限りですから。常に気を抜くことができませんでした。
西代さん:ほんとうにそうですね。大会の結果はもちろんですが、結果を出すためのトレーニングにもパーフェクトでなければいけません。そして、なんといっても怪我をしては大会出場がかなわなくなるため、日常生活でも怪我をしないように細心の注意を払っていました。
林さん:結果、オリンピックへの夢を叶えることはできませんでしたが、今思えば、このような貴重な経験ができたことはこれからの人生にとっても大きな意味があると思っています。
西代さん:同感です。夢を描くことは誰にでもできることですが、オリンピックという夢は様々な条件をクリアしないと描くことができないものでした。われわれのような選手の努力もそうですが、支えていただける方々なくしてオリンピックを目指すことはできませんでした。
———夢の先に見えてくるものはなんでしょうか?林さん:正直を言うと、今はオリンピックに向けて走り続けた余韻が残っていて、次を考えることはできていません。ですが、一旦のピリオドが打たれたいまだからこそ、オリンピックがいかに大きな夢であったかということを実感しています。そして、そんな大きな夢を追ってきた自分は、オリンピックを目指す前と比べて、何倍も何十倍も成長できたと感じています。
西代さん:オリンピックを目指して無我夢中になれたことは、自分を知るチャンスだったと思います。自分の可能性、限界。“自分の知らない自分”を知ることができましたし、レベルアップできたと実感しています。
——— 夢とは描くもので、必ずしも叶うものではない。しかし、夢を追いかけるその道のりが自分を成長させ、新たなステージへのチケットとなる、林さんと西代さんペアはそんなことを教えてくれたのでした。